店の再開準備と1月10日のコラム

お店の休業から1年が経ちました。
でもまだ今はフランスにいます。渡仏が遅れて9月になったので、帰国も少し遅れます。
すみません。
フランスももう半年経ち、少しは奇麗な女の人にも慣れてきました。
しかし、そろそろ店の再開準備はしております。
帰ったらちゃんと働かないといけない。
激しい労働に堪えられるように筋トレしてます!
他の準備は手つかず、、今からです!!
↓これは、年明けに中国新聞に1月10日に載せて頂いたコラムです。
コラムには良い事を書き過ぎたので、この10分の1ぐらいの規模でがんばっております。
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もうもうと黒い煙をたてながら、石窯の中で薪が燃えている。
フランス西部、人口140人の小さな村、サンピエール・シュル・エルブ(St Pierre sur Erve)
村の中心に、1000年前からあるという優しい印象の教会がある。
その教会の横に小さな小屋が建っていて、その中に築200年以上のこの共同石窯がある。
昔も同じように村人が集まり、この窯で火を焚きパンを焼いていたそうだ。
パン職人のローランさんがこの古い窯を修復し、年に一度、昔のように村人が集まり、
パンや持ち寄った料理を焼き、ワイワイ食べて飲む、という行事が開かれている。今年で5回目。
夜7時頃、村人が集まりだす。
朝から温め続けられていた窯は、しっかりと熱をレンガに溜め込み、熱々だ。

まず最初に、フランス語でフエ とよばれる薄いピタパンをささっと窯入れして、強火で5分程で焼き上げる。
それにチーズを挟んで食べる。食前酒を飲みながら、立ち話がはじまる。
 
次に、村人達が持ち寄った、ピザや、キッシュなどの料理が、窯いっぱいに入れられる。
窯入れを手伝う人。焼く料理を運んでくる人。飲みながら眺め歓談する人。
窯を中心に空気がどっと賑やかに生き生きとしてくる。
料理が焼けるころ、皆はやっと長テーブルに着きはじめ、
ここからが本番だと、歓談の声もヴォリュームを増す。食べては話し、飲んでは話す。

窯の温度が下がってくると、タルトやケーキ等の窯入れ。
窯入れしていたローランさんもやっと一息。村人達から笑顔と拍手で迎えられ、照れ笑い。
最後のデザートが出ると、窯は空っぽ。
それでも、ほのかな暖かみを求めて人々は窯を囲み、
石窯小屋にぎゅうぎゅうに入って、おしゃべりは深夜0時すぎまで続く。
きっと昔と変わらぬ、石窯小屋に灯る明かりと、高く登った月明かり。
そんな光景を眺めていると、共同石窯の200年という時の流れと、
村人達のゆっくり食事と会話を楽しむ習慣がだぶって見える。
彼らは、時が積み重なってゆくことを仲間や家族と大切に共有する。
そしてそれをじっくり愛でるように楽しむ。
それは例えば、日本人が盆栽の枝の形や葉の向きまでもを繊細に愛でるのと同じくらい真剣に。
ここではその対象が”物”ではなく”時”なのだ。
共有された時間はほんのり暖かい不思議な余裕を与えてくれる。
僕はパン屋だけどフランスに来てパンのレシピはこれといって学んでいない。
僕が学びたいのはこんな豊かさのレシピだからです。

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『中国新聞』2013年1月10日掲載
deRienのfacebookページには載せきれなかった写真があります。是非みてください。
「石窯で焼く天然酵母パン/Boulangerie deRien」

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