酸っぱいビールとマイケル・ジャクソン

「蒜山醸造所つちとみず」さん、@tzuchi_to_mizu
で、ビール仕込第一号を試飲させてもらった。

なんと、ドリアンの乳酸菌バリバリのパン種を使ってもらっているビールなのだ!
ビールの醸造所に種を使ってもらうのは、始めて。ワクワク。

ゴクリ。。
これは、、
ランビックやないかーーーー!!

思うにやっぱり、
僕はマイケル・ジャクソンが一番好きだ。

マイケル・ジャクソンのDVDをドキドキしながら見た日を思い出す。

(マ)「今回は、ベルギーに来ています。」

マイケル・ジャクソンはテンポがいい。

(マ)「ベルギーといえば、もちろんビール。
そして今日紹介するのは、ベルギーを代表する伝統的なビール。
ランビックです!」

そう、もうお気づきでありましょうが、
このマイケル・ジャクソンは、
踊ったり、歌ったり、はしない。

ビール評論家のマイケル・ジャクソン。

ビール愛好家の中で、
マイケル・ジャクソンといえば、
むしろこちらのマイケル・ジャクソン。

1945年イングランド北部に生まれ、
新聞記者ののち、ビール評論家に転身、
その後30年間にわたり、それまであまり知られていなかった、
世界中の地ビールを調査、分析し、多くの著作を残し、世に知らしめた。
2007年、ロンドンの自宅で心臓発作により、惜しまれつつこの世を去ったマイケル。

歌手のマイケル・ジャクソンがキング オブ ポップ、
と呼ばれるのに対し、
彼は、キング オブ ”ホップ”、
と呼ばれている。

実は、
ベルギーがビール大国だということを世界に知らしめたのも、
彼、マイケル・ジャクソンだった。

そして彼がひときわ愛したビール。
それが、
ランビック。

ベルギー、ブリュッセルに伝わる、伝統的製法で作るビールだ。
蔵に住んでいる、乳酸菌と野生酵母で醸されていて、
とっても酸っぱい。

でもその味わいは複雑で、フルーティー。酸味の強いワインのようでもある。
実際、アルコール度数は10度を超え、ワインのように樫の木のタルで熟成され、
長期の保存にも耐える。

ーーー
2014年、僕はベルギー、ブリュッセルに行き、念願のランビックの蔵を訪ねた。

独特の、銅でできた浅いプールのような部屋、そこへ麦じゅうが流されて、
野生の乳酸菌や酵母菌がつくのを待つ。

樽がずらっとならんだ光景は圧巻だった。
そして、伝統がものをいう、重厚感。存在感。
そんなものが、
蔵の中のいたるところ、そのビールからも発せられていた。

蔵を後にし、ベルギーのしっとり湿った雪の夜。
路地裏の地下への階段を下りていき、飲み屋に入る。
重厚な古い木製の調度品が黒光りしている店内で、
ランビックを頼む。

(田村)「マイケル、お前も、ここにきたのか。。。なあ、マイケル。」

と思いながら、静かにそしてゆっくりと、
愛おしむように飲むビールは確かに、
常温で酸味の効いたビールがぴったりだった。

ーーー
が、しかし!

そういうのもとっても素敵なのだけれども、
やっぱり日本の夏の夕暮れビールも素敵です。

「かんぱーい!」

と言ったかと思うと、

ジョッキで、一気にグイグイと全部飲む位の勢いで、
しょうしょう口から外れて滴り落ちるのもまた、
ビールの味わいを増しつつ、
そして、声にならない、

「くーっ」

といううなりをあげて、

「今週も俺はよく戦ったな。
汗まみれで仕事したもんだ。
明日は休みだ、飲むぞ~!」

「すいませーん!生おかわり!!そして刺し盛りね! 」

というのがやはり、
日本の本格的ビールシーズンには、
たまりません。

ということを考えると、
やはりアサヒスーパードライ、一番搾り、モルツ、えびす、もろもろ。
なんていうのも、よく考えられたものだな。
と関心したりするのです。

日本の熱い夏。
水よりさっぱりしたものを飲みたい。
のどごしを考えつくしたビール。

極端言うと、味は関係ない。
ランビックの真逆。

いろんなビールと、それを飲むシチュエーション、
そして人々が世界中にいるのだな~。
ビールだけでも世界は広いな~。
と想像するのです。

ーーー

キング オブ ホップ。
ビール評論家のマイケル・ジャクソンは、
こんな言葉を残しています。

「never ask for a beer」
意訳しますと、

「”とりあえずビール”っていう注文はしないでね」

ビールへのあくなき愛がこもった言葉であります。

しかし、
だからこそ、
マイケルと、
日本の立ち飲み酒場で飲んでみたかった。

日本人の発する、
「とりあえずビールね!」

という言葉にも、
ビールへの深い深い愛情、
それだけではなく、
職場での葛藤、
家庭での悲しみ、
野球の勝ち負け、
政治への諦め、
その他もろもろが混ざり合った、
ビールへのすがるような思いがこもっていることを、

そして、
そんな思いを受け止めてくれるのが、
ビールという飲み物だということ。

彼、マイケルならわかってくれたはずだから。