山伏と東洋医学と米粉パンと建国記念日

米粉のパン。

そもそも、小麦は身体に良いのか悪いのか?
悪なのか?
小麦が日本の食をダメにしたのだ!
だから何でもかんでも小麦粉の代用として米粉を使えばいいんだ!

という議論自体に、どうも違和感を感じる。
これは、直感。

他者を敬わない議論は、どんなに正論であっても、不毛に終わる。
と、感じる。

日本は小麦食では確かになかった。
確かに、日本人には、米食が合い、欠かせない。もっと米を食べるべき。

でもそれが、小麦食、小麦自体を侮辱し、虐げることには何の根拠ももたない。
小麦文化に失礼すぎる。

ひるがえって、
小麦粉の「代用」とされる米粉にも失礼極まりない。

「あなたは、昔別れた彼の代用ですから。」
と言われて気持ちの良い人はいない。愛は育めない。

山伏の星野先達に、
「自然に祈り暮らしていたヒトは直感に優れていた。いつ頃からか頭で考え始めて、ニンゲンになった。自分の内面のヒトの割合は1%もなくなっている。その割合を増やした方がよい」というような意味の言葉を頂いた。(多くは語られないから。それもまた本質からはなれていってしまうから。)

だから、「ヒトの直感で決断して、ニンゲンで仕事を進めていくのがいいんだ」
とも言われた。

僕は、「日本からパンを無くしてやりたい!」
と小学校の頃から思い続けているパン屋3代目だ。

そんな僕でも、小麦が身体に悪いとか、日本人に悪いとか、そういう議論には、
直感的に、ムカつく。恥ずかしくなる。いたたまれなくなる。なさけなくなる。心から、、、悲しくなる。

そんな議論を平気で持ち出せる感性が、
その厚顔無恥な感性が、ニンゲンなのだから。

でもそれは、僕のヒトの部分が直感で感じていたことなので、他人にはうまく説明できなかった。

しかし、その答えは、日本古来の東洋医学にあったから、その喜びは何十倍にもなった。

ああ、もともとの日本人はもっとヒトだったんだ。

東洋医学も、小麦の毒性なんて、1000年前から知っている。
でもさらに、その薬となる部分も知っている。

それは、小麦の植物としての個性であって、良いとか悪いとかじゃあない。

米は良い。
なんで良いのか?
それも東洋医学は知っている。

東洋医学は、直感の積み重ね。ヒトが試行錯誤した積み重ね。
だから、勉強していて、失礼を感じることがない。包容力がある。

「小麦粉の代用として米粉でパンを作れば良いじゃん」

この一文の中に、どれだけの自文化、異文化への失礼。
今まで生きてきたご先祖への失礼が含まれているか、感じれない人は、ヒトの部分がもうゼロになっている。
そんな人は、もっと山に登った方が良い。
考えることを停止して、山で雨に打たれ、ドロドロになって、ずぶ濡れで寝た方が良い。

(そうするしかない、と星野先達と話していて思った。)

なぜお餅は正月だけ食べるのか?
なぜお団子はハレの食べ物なのか?
なぜ玄米は栄養豊富としりながら敢えて先祖は白米を食べたか?
なぜ日本酒は米を削るのか?

われわれの先祖がまだヒトだった時代に、積み重ねてきたことを、ニンゲンの僕たちがえらそうに判断し、時に批判する。

あべこべなのに、それを敢えてできるのは、彼らが見ていた風景が、僕たちの目には見えないだけだ。
直感で生きていたヒトはもっと広い世界を見ていた。

だから、小麦をやめて、米粉パンを食べても健康にはならない。
もちろんならない。
昔のヒトなら100%解る。

小麦にも米にも呪われる。というのは冗談だけど、結果的には同じ事になるのだから冗談でもない。

陰陽転化の法則。

陰陽が極まると転化する。

健康に気をつけて、100%を求めて、がんばってがんばって、頭で考え続けて、ニンゲンで頑張り続けると、転化する。イコール不健康になる。

僕らの身体には、こころがあるからだ。

小麦が悪いと、社会の全ての小麦をやめろと言い、唐揚げも米粉で、パンも米粉で、シチューも米粉で、パスタも、お好み焼きも、、、、、、そんな社会は転化する。
直感でなんとなくわかるはず。(ヒトの部分があるのなら)
血の流れない、不健康な社会になる。

一回マクドナルドを食べても、健康になる人もいれば、不健康になる人もいる。

一回のマクドナルドの問題ではないからだ。

なぜ、昔はもっと沢山お祭りがあったのか、寝ずに踊り、飲み食いする不摂生があったのか?皆がそれを求め、楽しんでいたのはなぜ?その効果も実利もあった。

ハレとケ、というのはただの題目ではない。

森羅万象の中に、歌を詠み、神を祭る日本はもっと直感がするどいヒトの集合体だったのだと思う。
それは、心身共に健康だったと思う。そんな社会は強靱だ。

西洋文化に、明治維新、戦後と、2度洗濯機にかけられて、アタックもボールドもエリエールも入れられて、ヒトの部分が綺麗に洗われ、除菌抗菌までされてしまった。

そんな建国記念日の朝です。

沢山考えてしまったので、山に分け入って、ヒトの部分を取り戻そうと思います。

2件のコメント

いつか、自分のパンを生業にしたいなと思っている者です。
小麦でパンを作っておられる方から米粉パンへのご意見をずっと聞いてみたかったので、こちらの記事に巡り会えてよかったです。
文化という面からパンを捉えたことがなかったので興味深かったです。
ずうっと今まで小麦を食べてきたご先祖さまが何もなかったのに、いきなり小麦が、、、となった今の時代に違和感はずっと感じていました。
でも小麦がだめなら米粉で!という風潮に対しては米の自給率があがる!いいね!とか、グルテンフリー!いいね!としか思っていませんでした。
原点回帰ですね。

こんにちは!!
もともと素晴らしい米文化があるので、あくまで3割までの遊び心として、粉物文化があってもいいと思います。
米にも麦にも敬意を表して*(^o^)/*

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です