フミの置き手紙

さて、八丁堀店の店頭に立つ妻のフミさん。
以前はパンの製造もやっていて、
フランスから帰った６年前からは、販売に専念してきました。
文章書くのが苦手で、普段は３行ほどが精一杯なのに、
この度、長文を書きました。
ちょっと訳あって、６月には店を離れるフミさん。
それほどまでに書かずにはいられなかった、
熱量、心の叫び、置き手紙。
読んで頂けたら、うれしいです。

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昨日ホームページに１件のクレームが入りました。
３０分も並んだのに、目の前で売り切れ買いたかったパンが買えなった。
予約をしたいと申し出るも常連さん以外のご予約は受けてないと断られて、
バカにされたようで不愉快。
既存客、リピータを大切にしているのかも知れませんが、
自分のように通い始めて数回の客もいます。
いい気になるな。

というメールでした。

今年に入って、ラジオの出演、本の出版をさせて頂いているおかげで、
お客様が増えています。
とてもありがたいのですが、パンがすぐに売り切れてしまい、
せっかくご来店頂いたのに買えないと言う方も多いです。
いつ来てもないから何時来たら買えますか？
予約したいのですが。。と言う質問も多いです。

なので今回メールを頂いた方のご意見もごもっともなのですが。。。

いい気になっていないです。
いい気になっていないから常連さんが大事なんです。

話題がなくなるとお客様が少なくなるのはわかっています。
今まで何ども経験しています。

忙しいからといって焼く量を増やした時に限って、
ご来店が少なく、パンがゴロゴロ残るということもたくさんありました。

以前はご予約もたくさん受けていました。
でも、
連絡しても電話にでられずそのままご来店なし。
ご来店頂くも思っていたのと違うのでキャンセルします。
閉店間際に電話がかかってきて、ごめんなさい行けないのでキャンセル。。。
ということが重なりました。

こういうとき、このパンたちは行き場がなくなります。
まだ閉店までに時間があるときは、ご来店頂いたお客様のもとへ行けますが、
閉店前だとせっかくお店までご来店頂いたお客様に販売できたのに。。。
休日前だと、翌日販売もできないし、食べきれないし。。
と、なんとも言えない気持ちになります。

そういう経験が重なり、
今はお顔とお名前がわかる常連さんのご予約のみ受け付けることにしています。
言葉は悪いですが、顔が見えなく声だけのご予約だとキャンセルもしやすいです。

※少し前はうちのパンを食べたことある方のご予約は受けていたのですが、
思い違いのご予約でキャンセル、や
商品の説明等でご来店頂いているお客様をお待たせすることが多く今はやめています。

ご理解頂けない方もいらっしゃると思います。

ですが、
常連さんはパンが売れ残っているころから、月に一度、毎週、
会社の帰りに寄れたら、遠いから２、３ヶ月にまとめて、
と通ってくださっていた方々です。
そういう方がふらっと来ても買えない、毎週買いに来ていたのに買えない、
ということが増えてきたのでご予約を受けるようになりました。

それでも、
予約なしで「ダメ元で来てみましたー」と話しかけてくださる常連さんもいらっしゃいます。
本当にありがたいことです。

最近ご来店頂くようになった方もたくさんいらっしゃいます。
まだ名前を知らないけどよく話す方、
この曜日のこの時間帯に来てくださる方と認識している方も多いです。

売れ残るのが嫌だから予約メインにと言うことも考えましたが、
うちのパンは焼き上がりの３日前から仕込みが始まっています。
そうなると予約いただくのは４日前までにと細かいことになってきます。

日常のパンとして食べて頂きたいパンなので、
ご予約分だけで販売できるパンがない、というのも違うなと思っています。
週末などは平日よりも少し多めに焼くようにしていますが、
こちらも天気によって左右され残るリスクが高くなります。
仕込みに３日かかるので、週間天気もあてにできません。。

なのでこれ以上ご予約の枠を増やすことも、焼く量を極端に増やすことも考えていません。

不思議なもので集中するときはドカッと、
あれ～今日ぜんぜんダメだーと言うときは本当にご来店がない。。
と極端です。

営業再開してからの５年間、
種類が少なく、硬くて酸っぱいパンを受け入れてもらえず、
接客していて悲しくなることが多々ありました。

そんな中、調べてきてくださったり、友達の紹介で、前を通って気になったからと、
少しずつこういったパンを知っていただくようになり、
食べて美味しかったからまた来ました！
という言葉に何度も救われてきました。

お会計時の少しの時間で、一言、二言会話したり、
ゆっくりしているときは少し話し込んだりと
お客さまとの会話も楽しい時間です。

悪天候の影響でここ何年か、
使いたい小麦や送ってもらいたい量の小麦を確保することが困難になってきています。
この４月からパンの種類が１種類減るかもといった、
国産の特に有機栽培、減農薬というものを選べれるだけでなく、
国産の小麦すら確保することが大変な時代になっています。

それでも、
美味しい！とずっと通っていただいているお客さまに、
日々の食卓で安心して食べて頂けるパンを届けたく、
これからもパンを焼き続けると思います。

こちらの一方的な思いでご理解頂けない部分があると思いますが、
これまで通り、通ってくださる常連さんを大切に、
スタイルを変えることなく、
お客さまとの時間を大切にしていきたいと思っています。

パンがゴロゴロ残る木曜日の１７時、
この文を書きながら、
今日ご来店頂けてたら。。。。
と沈んでいたら、
「やったー！！駄目元で来たんですが、全種類ある～♪」
と喜んでくださる一見さんと会話をして、
笑顔になる私なのでした。

田村芙美