(『中国新聞』2007年6月28日掲載)
「自然や文化を守り、環境問題を解決したい」
このおもいに僕は20代を捧げ、今まで書いてきたように旅をしてきた。
それが今では旅をやめ、
環境とモンゴルの仕事も辞めて、
パンばっかり焼いてるものだから、
よく聞かれる、
「もう、環境やモンゴルの活動やめたのですか?」
そんな時、
僕は答える。
「え、続けてますよ。
以前にも増して力づよく」
僕にはずっと、ひけめがあった。
「埋め立て反対!
動物を守れ!」
と叫んでも。
モンゴルの人に、
「遊牧って良いものですから、続けてくださいね。」
と言っても、
むなしく、
なにか違う気がしていた。
自分勝手すぎないか?と。
自然も、動物も、人々も文化も、経済すらも、
博物館の中に展示されているものではない。
まさに今も、
生き生きと一生懸命、
前へ向かって、
活動しているナマのものなのだ。
自分の家が立っている土地も、昔は海だった。
モンゴルにだって、遊牧など捨て、都会に憧れる権利がある。
自分はフワフワ暮らしていながら、
よその国や、遠い場所にだけ、郷愁から、古さ、停滞、を求めるのは、
自分勝手だ。
だから、
遊牧民さんと同じ、
時代に逆らう現場で、
自分もナマナマしく、
挟まれ、悩み、葛藤しながら、
国産の小麦を捏ねて、
薪でパンを焼きたくなった。
電気のパンなんか屁で飛ばせるくらいのパン。とにかく理屈抜きで美味しいパンを焼く事が、
本当の活動になるのではないか。と。
僕の大好きなフランスのパン屋「ポワラーヌ」
は、何百年と変わらぬ薪でパンを焼く製法で、
世界で一番のパン屋になった。
結局、おいしかったのだ。
店主はそれを「レトロ・イノベーション」と言った。
古いやり方で革新するという意味だ。
僕はこの考え方が好きだ。
例えば、みんなが100年前の暮らしをすれば、たいがいの環境問題は解決する。
けれど、人間戻れない。
だからレトロ・イノベーションなのだ。
古い方法で、戻るのでなく、前へ進んでしまえばいい。
実際にできる。
食べ物も、道具も、生活も、
昔ながらのやり方の方が質が上がる。
人の手間ひまがそれだけかかっていたからだ。
技術を人の手に取り戻し、
古い方法で新しい時代を作る、
それを実践して、証明してみせる為に
僕は今日も明日も汗まみれでパンを焼いてます。
こんにちは。
以前にブログで読んだ気がするのですが、果物・果実等で起こした酵母は、本当の酵母ではないと書いてあったような気が・・・
もし、記憶違いでなければ・・・何年の何月何日のブログか教えてもらえませんでしょうか?
ふと気になって眠れない日々が、つづいて喉に骨が引っかかったみたいに気持ち悪くなり、失礼承知でコメントしました。
ご多忙とは、思いますがどうぞ宜しくお願い致します。
こんにちは!
以前書いたのはfacebookでかもしれません。
もう一度説明しますね。
果物などで起こした酵母は、酵母菌です。これで美味しいパンを焼いているパン屋もちゃんとあります。
ルヴァンという粉を継いでいく種は、乳酸菌も一緒にいるので、殺菌、糖の分解もしてくれて、パンが作りやすいです。
イースト=強い酵母菌
果物種=弱い酵母菌
ルヴァン=酵母菌と乳酸菌チーム
という感じです。
果物だねでのパン作りは、日本で独自の発展をしていて、ヨーロッパではあまり見かけません。