電気なんて半分あったらじゅうぶんです

「レトロイノベーション＝古い手法で革新する」
これこそが、
新しい社会を作る手段だ！そうなのだ！！と信じて、
僕は店をついでから、
どんどん機械をなくしていった。
ピカピカ目障りだったジュースの自動販売機２台を皮切りに、
飲み物の冷蔵陳列（暖房かというくらい部屋熱くなるし）
冷凍庫（生地の冷凍しないし）
発酵機（室温で充分だし）
揚げ物あげる機械（カレーパンやめちゃったし）
冷蔵庫（そんなに入れるものないし）
パン分割丸め機（むしろ時間かかるし）
パン延ばす機械（まあなんとかなるし）
そして、
ガス窯も（石窯さまに呪われるので）
今使ってるのは、
ミキサーと冷蔵庫ぐらい。
一つ一つ、
まさに投げ捨てました。
否定し、罵倒し、蹴り飛ばし、
機械の身になって考えれば、
恩を仇で返すようなもの。バチ当り。。
でもそうしないと、
そうやって追い込まないと、
「レトロイノベーション＝古い手法で革新する」
を実証することなんてできないのです。
機械を捨てる度に、
「おい！おれ様を捨てて、それでお前、いいパン焼けなかったら、
　呪い殺すぞ！！！」
とプレッシャーが大きくなる。
技術を人の手に取り戻した。
でも、
できてるパンは、やっぱりイマイチだね。
ねえ、ママ、
やっぱり機械だね、
やっぱり効率化だよね！
となってしまうと、
この試み自体が否定されてしまう。
機械化されたパンとは別次元をいくものを焼かないと、
一目見て、
一口食べたら、
「ブラボー！」
「人の手業、ブラボー！」
となれば、
電気なんて半分あったらじゅうぶんなんです。
（もうバブルじゃないんだし）
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「石窯で焼く天然酵母パン/Boulangerie deRien」