旅するパン屋⑥/知床岬のさきっぽへ

(『中国新聞』2007年8月2日掲載)
「苦労=感動」
それは、たべものにも言える事なのか?

知床岬への旅は。それを検証する旅でもあった。

1999年8月19日
【1日目 晴れ後曇り】

相泊(最後の集落)発

険しい崖を登り、
干潮を待って海を渡った。
熊よけに爆竹を鳴らし、
川から離れてテントを張る。

【食べ物】

朝:パン、リンゴ
昼:パン、魚肉ソーセージ
夜:米、干し椎茸、芋、ココア

【2日目 晴れ】

小さな滝に感動する。

違法の渡し船の釣り人が多い。
空き缶が多く、
禁止のはずの焚き火の跡だらけ。

そうなんだ。
感動というものは、苦労の上に立っているんだ。
苦労をせずに感動はない。
僕らは、
岩を超え、死ぬ思いで来た。
だから、空き缶を残せない、
大きな焚き火後も残せない。

洞窟を通過する時、
落石が多く、ビビって引き返しそうになった。

腰まで浸かって海を渡る。

【食べ物】

朝:芋、パン、ココア
昼:リンゴ、パン
夜:米、干し椎茸、芋

【3日目 晴れ】

難所。
泳ぎor崖超えで迷った結果、崖を登る。
高い。怖い。

知床岬着。
ココアを飲む。

広ーい草原と、一面の青い海、
空は青くてきれい。
つかれた。

「なぜ、知床岬だけ、道路がないのだろう。」
と同伴者が言った。

「感動するには不便でないといけない」
と僕は思った。

【食べ物】

朝:インスタントラーメン
昼:カロリーメイト、ココア、ピーナツ
夜:昆布、インスタントラーメン

【4日目 快晴】復路

滝の下は気持ちがいい。
遠くに小さな滝も見える。
海は青くキラキラ輝いている。

延々と、ゴロ石だらけの浜。

【食べ物】

朝:インスタントヤキソバ、ココア
昼:オールレーズン
夜:米、高野豆腐、味噌

【5日目 曇り、寒い、強風】

復路は一度通った道だから油断していたが、厳しい。

【食べ物】

朝:芋、味噌、釣った魚
昼:ココア
夜:昆布、干し椎茸、米、芋、高野豆腐、味噌

【6日目 晴れ、濃霧】

クマ情報にビビる。

14時15分相泊着。

久しぶりの食堂で、
マス定食とビールを飲む。
安心感がどっと湧く。

【食べ物】

朝:もち(かびてる)
昼:マス定食、ビール!

知床の味は、一生忘れないだろう。

僕は出来るだけ苦労してパンを焼きたい。
その感動はお客さまにも伝わる。
と信じている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。