竹鶴の生酛造りの日本酒を持ってフランスへ


(↑昨年蔵を見学させてもらった時の写真。蒸し米を麹にする行程。)
我が師と仰いでおります、
竹鶴酒造の石川杜氏が作ったお酒、
フランスの方にもおみやげとして持参し飲んでもらっています。
この酒は生酛造り
野生の乳酸菌を使って野生酵母を純粋培養してしまう伝統技法であります。
私は、石川杜氏に教えを頂いた時、
それまでの疑問がパッと解消し、
そうだ、そうなのだ、
昨今でこそチャラチャラした酵母菌に押され気味だけれど、
乳酸菌こそが、
どっしりと長らく人類を支えてきた発酵の主役で、
まさに、
菌のなかの菌。男のなかの男。キングオブキングなのだ!
と大興奮したものです。
ちなみに、
石川杜氏は乳酸菌を”信長”と呼びます。
酵母菌を”秀吉”と呼びます。
さすがで、これが本当に的を得た例えなのです。
それ以来、
私は乳酸菌のコントロールをメインに天然酵母作りをしています。
それによってはじめて味も発酵も操作できるようになります。
パン作りがやっと解ってきたのです。
そんなことなので、
おみやげにこのお酒を持っていったら、
天然酵母でパン作りをしているローランさん(フーニル・ド・セードルの主人)は、
もちろん食いついてこられました。
でも、
この生酛の説明がなかなか難しい。
さらに私のつたないフランス語では、蔵見学の時の興奮を伝えられない。。
それにどうやら、
フランスのパン作りはあまり乳酸菌を意識していないようで、
なかなか話しが噛み合なかったのです。
ノン〜
日本にいた頃に、
ドイツパン「ベッカライ・アイン」の飛子さんに、
ドイツでも酵母を安定させる為に乳酸菌をコントロールする。
と聞いたので、
ドイツとフランスでもパン作りは結構違うのかな、
と思いました。
また、
麹菌の話しにまでいってしまうと、
全く理解できないみたいでした。
麹でデンプンを糖に分解する考えは西洋には無いので、
説明してもなかなか堂々めぐりなわけでした。
どうも、
酵母菌と麹菌が同じようなものだと思われているようなのですね。
もちろん麹菌は酵母菌のようにアルコール発酵はしません。
こういうのも話して初めてわかることなので、
意義ありです。
とにかくも、
日本に行ったら是非日本酒の蔵を見学したい!
と、興味はモリモリのようでした。
やはり発酵は奥深く、でも自然の理にみちていて面白いです。
(ちなみにこれは昨年11月に蔵見学させてもらった時の写真。
これが生酛。乳酸菌を発生させて雑菌を駆逐し、そこへ酵母を定着させて酒造りの元の酵母にします)

酛ずりをしながら、育てられていきます。
水分量や固さでコントロールしていきます。すごい知恵です。

凛とした冬の冷たい空と、立ち上がる湯気、てきぱきした蔵人さん達。
大好きな光景です。

deRienのfacebookページには載せきれなかった写真があります。是非みてください。
「石窯で焼く天然酵母パン/Boulangerie deRien」