正しいフランス式薪窯の使い方

フランス式薪窯の使い方は、
地理的に遠い為、取材する方もパンの専門家でないからか、
とても誤解されて日本に伝わってしまっています。
専門雑紙でさえです。
ということでここで、
やさしいフランス式薪窯の使い方です。

薪をくべます。
結構ギュウギュウに詰めます。
鉄の桟の上にくべるので、下から空気が入り込み、すこぶる燃えます。
フランス式薪窯のキモはここです。
窯の下手前で燃やします。
が!
下から焼き床を熱するわけではないところが要注意です。
それではパンに対して上火が効かないからです。
これは実際に日本のパン屋さんに失敗例を伺ったことがります。
下から焼床のレンガを熱する構造にした為、パンの上に色がつかないし、下が焦げてしまうと。
その方は専門のコンサルに依頼したのに。。。
とおっしゃっていました。
要注意ポイントです。

その火はこの「グラ」と呼ばれるヘビの頭のような部分から窯内に放出されます。
そして窯の奥にある煙突へ向かい一気に流れていきます。
「グラ」とそれが座っている穴の部分は丈夫な鋳物でできています。
「グラ」の方向を変える事で窯内をまんべんなく熱します。
燃やす時間は、
1番釜の場合
右斜め15分、左斜め15分、右横10分、左横10分
2番窯以降の場合
5分5分5分5分
とのこと、見た感じでは若干もう少しプラス燃やしていたように感じました。

頃合いで、燃えかすを桟の下におろします。
なるべく薪は全部燃えきるように調整します。薪も細めに。
ここが一番誤報の多いポイントです。
この作業の写真が、あたかも窯内から燃えかすの炭を落としているように見えます。
途中にある鋳物の桟が見えないからです。
この写真は結構大きいですが、それでも解りにくいです。
スコップの底辺辺りが桟で、薪はその上に乗って燃えていたのです。
この見えにくさのため、
「フランス式薪窯は窯内の焼床の上で薪を燃やし、
 手前の穴から燃えかすを下に落とす。」
と伝えられてしまいました。
その為に、そういう構造で石窯を作ったパン屋さんが日本には多いです。

「グラ」を取り外して、下にでも置いておきます。
めちゃ重いです。

「グラ」がはまっていた下と通じている穴にはふたをします。
ここから火が出ていたわけです。
沢山の本で、
この穴から燃えかすを落とす。
と伝えられました。
今でも信じてくれない方がいるほど、その情報は一般化してしまいました。
イワクツキの穴。。

「エクヴィヨン」と呼ばれる窯内の清掃作業に備えて10分〜30分ほど待ちます。
窯内の温度が均等に馴染むのを待ちます。

「エクヴィヨン」です。
棒の先に鎖、その先に雑巾がついたもの(1つ前の写真)を、
窯の中でグイングイン回します。
とても楽しそうな作業です。
ほこりは舞い上がり、煙突からすい〜っと出て行きます。
焼床で薪を燃やさないので、これだけで清掃は完了します。
ドリアンみたいな直接焼床で薪を燃やす方法よりも一番優れている点です。
拭く必要がないので、窯を冷ますこともなく。
また作業もとても早いです。
で、パンの窯入れとなるわけです。

ちなみにこの取っ手は窯のずっと奥の煙突の根元に繋がっていて、
煙突の開け閉めをします。
そこには鋳物で丈夫に作られた「ウーガ」とよばれる部品がその役割を担っています。
煙突は構造的にここが一番壊れやすいので、
日本の薪窯パン屋の弱点でもありました。
みんなここが壊れるのです。
だから、煙突無しの窯を作ったりします。
この「ウーガ」を日本に持ち帰れれば、
日本の石窯はもっと安定したものになるはずです。
これら窯の鋳物部品一式を日本へ持ち帰り、
石窯仲間に紹介するのが今回の大きなミッションなのです。
日本のパンはもっと美味しくなるし。
パン屋はもう少し楽に作業できるようになる!
deRienのfacebookページには載せきれなかった写真があります。是非みてください。
「石窯で焼く天然酵母パン/Boulangerie deRien」

6件のコメント

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これはすごい大発見というかすごい大発表だね!
フィールドに出て修行してこそわかること。
そして、自分で石窯作って、パン焼いていたからこそ気づくこと。
こういう大発見を惜しげもなくブログで公表しちゃう田村くんの太っ腹に感動です。
これ、雑誌とかに投稿したら?なんかすごい感激です。
誤解が定説になってしまっているところを検証してわかったこと、というのが素晴らしい。これからもどんどんエポックメーキングな発見の感動をシェアしてねー!

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モンゴルだるまさん>>
情報こそが要ですからね。間違っていたら、沢山の人がすごく遠回りしてしまいますからもったいないですよね。
雑紙にもアプローチしてるんですけど、なかなかで、私の文章乱暴だからかな〜(^^)。。。タダでいいんですけどね、沢山の人に知って欲しいのです〜

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きょう、夕方のローカルニュースで、今年、5月フランスで日本式の窯を現地で現地の材料を使って、作って、そこの土で備前焼を焼く計画をもっている若い作家のグループを紹介していました。備前焼とその文化と技術をフランスに伝えたいそうです・・・・・・フランスに行く窯、日本に来る窯いろいろあるなぁってこの記事読み返してます。

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やまもとさん>>
羨ましい話です!!日本人なら、日本の技術を海外で紹介するのが普通ですからね〜。日本のパンやはそのへん矛盾を抱えた職業です。涙
でもそのへんがうま味でもあるんですけどね。(^^)

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うま味ですよ~♪そしていつか、フランスでうま味のある、備前焼を焼く人も現れると妄想ちうです。

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やまもとさん>>備前焼、フランスでヒットは間違いないでしょうね。どの伝統文化が来ても行けると思いますよ〜。「日本人は文化を紹介しなさすぎています!」とあるフランス人に怒られました。。

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