11年前の冬、
私は、
長野の山奥にある白骨温泉で、
住み込みバイトをしていました。
(写真は雪かきの休憩中、坂に座ってる同僚をとったものです)
11年ぶりに白骨温泉に入った。
肩まで湯につかって、
大きく息を吸い込むと、
まず、
鼻が11年前の記憶を呼び起こした。
ああ、この匂いだ〜。
すると、
心の中にサワ〜〜と心地良い、
さざ波が立っていったのです。
最初は何の波なのか解らなかった。
昔のエピソードを懐かしく思い出す、
とかではないのです。
映像的なシーンを思い出すわけではなくて、
息を大きく吸い込み、
硫黄の匂いをかぐたびに、
ただ、心の中にサワサワ〜と波がたつ。
夜10時に、一人で、
暗い湯船につかって、
ずっと考えていてやっとわかった。
11年前の、自分の心情が蘇っていたのです。
22歳の頃は、
将来に根拠のない希望のみを抱いていました。
これからはじまる船出に向かう若い船乗りが、
港で風待ちをしながら、出航を心待ちにしている感じ。
楽天的に良いイメージだけを思い描いていました。
白骨に来て良かったと思いました。
あの頃に戻ることは意味がないし、
あの頃の気持ちで今を過ごすことも意味がない。
けれど、
あの頃はこんな気持ちだったのかあ、
と今になって客観的に感じれたことは、
とても大きかったからです。
あの頃の自分も、今の自分も頑張っているな〜
となんだか思えたのです。
「石窯で焼く天然酵母パン/Boulangerie deRien」
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