パンの穴から世界を見た⑧/タコのおじやの国

(『中国新聞』2013年6月27日掲載)

(タコのおじや。ポルトガル)

ポルトガル。
ずっとこの国に来たかったのです。

なぜならここは、
海に囲まれたお魚大好き国家。

気候も温暖。
米も食う。

食は気候風土で決まるのだから、
この国がパンをどんなふうに食べているかは日本にとって重要。
来ねばならぬのです!

パン屋をやっていると

「そもそも日本の食べ物にパンって合うの? うまいの?」

と思ってしまう。

ポルトガルに来て私は救われました。

日本人の琴線にビンビン触れる料理。
そこに寄り添っているパンがあるのです。

まず、
タコのおじやとパン。

炭水化物に炭水化物を合わせる。
アントニオ猪木とジャイアント馬場のタッグにセコンドで力道山がついた感じ。
日本人には夢のコラボ。
味覚にフィットし食べ過ぎます。

裏道の地元の人でいっぱいの食堂では、
レバーを炒めたの、
センマイを炒めたの、
そしてイカを焼いたの、
とパン。
(レバー㊧センマイ㊥イカ㊨、そしてパン。母ちゃんメシメシ。)

津田恒美投手のようにストレート勝負。
サムライ的。

そしてなんと、
白ワインは、
キンキンに冷えたカラフェに入り、
氷が張ったのが出てきた!
気の効いた居酒屋のビールみたい。

分かり合えるポルトガル。

私はポルトガルがもう大好きなので今回はかなり感情的です。
しかも空腹です。

何なんだろうな。
違和感なくしみ込んでくる料理。

焼いたイワシにオリーブ油かけたのと、
アサリのトマト煮とパン。

エビのおじやとパン。

カメノテをゆでたのとカニゆでたの、
そしてパン。

よそ行きの料理でなくて、

「母ちゃんただいま!メシメシ!」

と、ドタバタ帰ってきた部活帰りの中学生が食べてシックリくる。

「よし、明日はホームランを打ってこいよ!」

と言える感じなのです。

菓子パンだけでは打てないでしょ。

日本人よ恐れるなかれ、
パンはこうやって食べるのだ、
と教えてくれているよう。

ポルトガルありがとう。
長崎のカステラも好きだー。

(ソパ・デ・アホ、固くなったパンで作るにんにくスープ!!)

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