仕事の鬼


今日はバタバタしていたので、
昼の賄いはカップ焼きそばだった。
お湯を入れて、
タイマーを3分にセット。
固めが好みの私は、タイマーがなる前に、湯きりにはいる。
湯きりは控えめにし、
若干水分が多い感じに仕上げる。
そこにソースをからめていくと、
多めに残された水分が、
麺とソースの間にゆとりを保ち、
その関係はギスギスしたものではなく、
ツルリと生き生き躍動したものとなる。
そこに、「かやく」、を投入する。
そう、お湯を入れる前に入れたりはしない。
焼きそばを食べた後に、
きまってカップの四隅に残ってしまうしなびれた野菜たち。
俺たちはどうせクズさ、
とでも言っているような切なさを漂わせている。
ちがうっ、先生は知っている。
お前達はクズなんかじゃない!
彼らには、お湯なんて必要ない、
決まりきったレールなんていらない、
もっと自由でいてほしい、
お湯からの卒業。。
その後の彼らは見違えるようだった。
乾燥したかやくは、
麺にガンガン自分たちから絡んでいき、
パリパリと歯ごたえよろしく、
特に「金ちゃんカップいか焼きそば」だと、
乾燥したイカが、パリンッ、と砕け、
こめかみから脳に心地よく伝ってくる。
そんな、
ベストな状態のカップ焼きそばを食べようと思った時。
「窯出し終わりました。すぐ着火できます!」
とスタッフが。
この艶やかな麺を五分も放っておいたらどうなってしまうのか。
食べてしまいたい。
今すぐ食べてしまいたい。
無言で麺を見つめていた私に、
「カップ焼きそば食べられてからにしますか?着火。」
とスタッフがとどめの言葉を。
正直、心が折れかけた。
今思い返すと、
まさに崖から滑落しかけたところ、指一本が岩に引っかかっていた状態だった。
しかしその時、私は我にかえった。
頭の中で、「プロフェッショナル」の音楽が鳴りはじめた。
ここでこそ、
リーダーの決断力、勇気を見せないといけないのだ。
私は、ソースと麺を混ぜ終わり、今まさに口に運ぼうとしていた箸を、
静かに机に置いた。
「今すぐ着火だ!マッチをもてっ」
職場は戦場です。
時には鬼になることも必要なのです!涙
「石窯で焼く天然酵母パン/Boulangerie deRien」

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