「不都合な真実」とパン屋


両親と、
「不都合な真実」
という映画を観に行った。
アカデミー賞2部門ノミネート作品。
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大学時代、
なんとな〜く国際関係を勉強していた僕が、
環境問題に開眼したのは、
故鈴木先生の授業を受けたのがきっかけだった。
先生は心臓病を患っていて、
ドクターストップがかかっているのに関わらず、
志で授業を続けていた。
様々な政治の矛盾、
経済の矛盾を影絵のように、
スクリーンに映し出した影が、
環境問題で、
科学者の先生はその真実を、
淡々と教えてくれた。
先生は亡くなる3日前まで講義に立った。
それから僕は猛勉強した。
政治、
経済、
文化人類、
生物、
宗教、
環境問題に関わる全てを知りたくて、
アメリカから著名な科学者が来日したら、
報道関係者だらけの講義にも潜んで聴きにいったりした。
教授、生徒を含めて、
一番知識をもっていると自負していた。
友達にも、
「タムラの授業はわかりやすい。教授になるべきだよ!」
と言われていた。
ヨーロッパに行った帰りに、
モンゴル上空から見た、
真っ白の草原、
そこでも人が生活していた。
司馬遼太郎は生前、
「モンゴル国だけが、他人に迷惑をかけずに生活している」
と言っていた。
CO2排出量はほとんどゼロだ。
モンゴルについても勉強した。
机上で解決出来る問題ではない、と思い、
進学はやめて、
社会に出たかった、
そこで活躍しようと、がんばった。
金にはならない分野で、
苦しかったけどやりがいがあった。
「お前は尾崎豊か?
 だめだだめだと言ってるばかりで、
 だったら君は何をどうするんだ?」
と人に言われてショックだった。
確かに。。
環境問題に画期的な解決策はない。
社会とすりあわせてすりあわせて、
地味に解決するしか無い。
登山を勉強して自然の中を歩き回る術を学んだ。
自然とコミュニケーションをとるのが基礎だった。
モンゴルに行って、
自然に負荷をかけない、
風のような生き方を学んだ。
環境教育を生業にしようとしたけど、
なんか違った。
一般の生活とあまりに離れているからだ。
理想論だけを唱えても変わらない。
特別なイベントで終わっては意味がない。
生活の匂いがしないとウソだ。
ウソはけっして伝わらない。
だったらパン屋という、
職人という一番地道で地味な生活者の側から、
何かを発信して、
まわりを少しずつ変えていきたい。
と思った。
薪でパンを焼きたかったのも、
その延長だ。
日本中のパン屋が薪で焼くならば、
すくなくとも、
パン屋が出すCO2は激減する。
そして食べ物は一番身近な環境問題だ。
今日、映画で見たデータも、
映画中の50年後の見通しも、
10年前に僕が学んだものと全く変わっていなかった。
問題は少しも改善されていない。
一つ変わったとすれば、
そういうトピックが映画になり、
それに沢山のスポンサーがつき。
映画館が上映に踏み切り、
興行収入を得られている事。
10年前に薪でパンを焼こうと提案したら笑っていた父親が、
まじめに映画を観ていた事。
そして、そんなパン屋に、
賛同してくれるお客さまが実際にたくさん増えた事。
孫の世代が笑って過ごせるような、
そんなパン屋にしたいです。
「不都合な真実」
ぜひ見てください。
「石窯で焼く天然酵母パン-ドリアン」

13件のコメント

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ドリアンさんのパンの味がおいしくて大好きで応援していましたが、
深い思いの伝わってくる今日のお話を読んで
ますます大好きになり、ずっと応援しようと思いました。

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いろいろ考えますよね、
僕のアプローチは、まず自分の隣の人を幸せにすることですね。
そこからすこしづつ、やっぱりよく分からないので。

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環境を考えるならまずは食ですよね。
生きてくには一番基本となるものですし。
身体に優しいもの。美味しいとかんじるもの。
それを身体に取り入れないと豊かにはならないと思います。
美味しいパン焼いてくださいね!

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先週、自分も見てきましたよ。
ここ10年、エンターテインメントの現状が大きく変わりましたね。
(それは、ワークショップの現状も同じ)

…そして、ブログに書いている心情、自分のことかと思いました。

これだけ世の中が変化していると、
私は、10年後に日本がどう変わっているか、楽しみなんです!
きのう、北欧の環境問題に取り組む現地の人の講演会を聞きにいって最後におっしゃっていたのが、
「日本が変われば、世界は変わる。アメリカ以外ならロシア、中国という人もいるが、私はそうではないと思う。それは、日本には、途上国の子どもにも影響を与える「ポケモン」のアニメのようなキャラクターがいる上で、経済的な力もあるから。だから、日本という国の認知度は世界で抜群に高い」

なるほどな~と思って、まだそのままなのですが、
お、なんか日本っていいねえと思いました。

生活からの発信、やっていきましょうよ!

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感動しました・・・
やはり「思い」心意気ですね。
そして故鈴木先生の思いは確実に繋がっていますね。

完全な幸福とは何か?周りの人ひいては世界中の人が全て幸せでないと自分が100%幸福とは言えないって短大のときの人生論で習いました。
誰の言葉だったか忘れましたがね・・・
たむらさんの日記を読んで何故かその言葉を久方ぶりに思い出しました。

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何かのためにパンを焼いていきたいですね。
自分よがりなパンだけにはしたくないな~と思っています。
食の改善だけで、今の日本の悪い流れは変わっていく可能性があります。そのほんの少しだけでも力になれたら良いなと、日々ちょっとだけ考えています。

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すみれさん>>
  ちょっとパン屋のブログに相応しくないかな〜、
と思ってましたが。
 すみれさんがそう言ってくださって、安心しました〜。

shozoさん>>
 そうでしょう、そうでしょう。
shozoさんは特にそうでしょうね〜。

こゆきさん>>
 そうですよね。体が基本ですよね。
 こゆきさんは、よく運動して、おいしく食べてらっしゃるので、
豊かさをわかってそうですよね!
美味しいパン焼いて、そのお手伝いができればうれしいですっ!

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みやっちさん>>
 そうですよね。日本はたくさん可能性を秘めているとおもいます!
出し切れてないかな〜てとこがありますが。。
みやっちさん、農家やる?

ともさん>>
自分も大学生の時に、その言葉習ったな〜。
誰の言葉だったかわすれましたけど。。。
思い起こさないといけないことばですよね。

あかぽんさん>>
 そうですよ!
食は文化だ!
あかぽんベーカリー、
化石エネルギーゼロのパン屋。
期待しておりますよ!!
(手ごね?)

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現実と理想。どっちにぶれ過ぎても結局は自らの想いをカタチにしていくのは難しいですよね。。。久しぶりに琴線に触れる「ことのは」を聞いたような気がします。ありがとう!(そのうち行きますよ。お店に。)

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> derienさん
>みやっちさん、農家やる?
やりますよー、来年の春から。
それまでにちょっとバタバタやっときます。
農と教育(共育でもよろし)は、可能性感じます。
食べられるし、なんたって身近なふたつ!

巡り巡って家業へです。
地味~に地元のおいしい刺身を食べながら(※ポン酢ではない)
社会や地域へ少しでも影響を与えられればとてもしあわせ。
その時にこれまでの知識や経験、手伝ってくれる人がいて、
家業は一歩進むのかなと。

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何度も読み返させていただいたのですが…
ずーんと来て、自分の中で焦りを感じました。
自分は今、何をやってるんだろう。何が出来るんだろうって。
blogを拝見する度に癒されたり、タムラさんの血潮や波動で
カツを入れて貰ってる気がしてましたが、
とにかく、この映画を観る所から、整理していきたいと思いますっ

ところで。
>10年前に薪でパンを焼こうと提案したら笑っていた父親が、
まじめに映画を観ていた事。
>お前は尾崎豊か?

には別の意味で反応しました。。。
前者でちょっぴりニヤりとして、
後者は自分も言われた事があるもので(苦笑)←意味は違う。

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 みやっちさん>>
ではその時は、尾道は向島に、
お酒もってうかがいますね!!

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shihoさん>>
自分も一緒ですよ〜。
あせってもがもがしつつも、
空回りというか、どこに向かって走るんだ?
とドタバタしています。
でもこの映画は、いいですよ。是非是非。

若い頃、尾崎豊好きでした。
学生寮時代の友達にはよく、
「朝から尾崎を聴くな!!」と注意されてましたが、、、、。

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