パンの穴から世界を見た⑨/スペイン巡礼の旅

(『中国新聞』2013年7月1日掲載)

   

スペイン北西部に、”エル・カミーノ(El Camino)”、という800キロの巡礼の道がある。
四国遍路のヨーロッパ版という感じ。

今回のヨーロッパ修行の締めくくりとして、
ぼくはこの40日間歩き続ける旅を選んだ。

今日は歩き続けて7日目。
Estella-Los Arcos間22kmを歩く。

昨日までの疲労の蓄積が足の裏や膝に残る。
だから出だしは足を引きずり、「いてて」と言いながら歩きはじめる。

朝5時、ヘッドライトを付けて出発。

街を抜け出し、
ブドウ畑の脇を通り、橋を渡ると、だんだんと空が白んでくる。

麦畑が広がる坂道をぐんぐんと登っているとき、
朝陽が昇った。

麦の穂を、朝の光が横から照らすと、
影と光が縦じま模様に広がり、とっても奇麗だ。

葉が茂りつぼみを付けたばかりのブドウ畑は、
見事に朝陽を浴びるような角度に作られている。

出発から3時間経ちお腹はペコペコだ。
峠に着いたので、ザックからパンとソーセージを取り出して食べる。
そして水をゴクゴクっと飲む。
旨い!

振り返って登ってきた景色を見渡す。
緩やかに起伏している、麦畑、ブドウ畑を朝陽が照らす。

この状況は、何の変哲もないパンを、
世界一美味しいパンに変えてくれる。

パン屋の技術なんて足下にも及ばない。
だんだん無意味にさえ思えてくる。

小さな村に入ると、どこからともなく薪を焚く香りがする。
この香りはDNAに、
美味しい食事の準備をしている香り、
としてインプットされているのか、なんだかホッとする。

スペインの巡礼路を、
麦畑やブドウ畑を間近に見ながら歩き、
小さな村に立ち寄り、
くたくたになって宿につき、食事をする。

パンはここでは基本なので必ず添えてある。

巡礼者や地元の人達が、
何を飲みプハーとなり、
何を食ってウメーとうなっているのかを観察する。

どんな凄いパン屋で修行するよりも価値のあるものだと思うのです。

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ps
今、中国新聞の連載、最終回の18回目の原稿、書き上げました。
長かったけど、楽しかった〜!!
思い起こせば、
この↑9回は、スペイン巡礼にでっかいノートパソコン担いでいって書いたのです。
この3kgが重かった。。。
記事、少しずつアップしていきますので、
読んでくださいね。

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