3年前の12月。
ドリアンは一度つぶれた。
モンゴルの仕事もなんとか形になりはじめ。
優秀なスタッフにも恵まれ、
新聞にも大きく載せてもらい、
沖縄での写真展も成功を収めて、
広島に帰って来た日は寒い日で、
年明けには、
親からモンゴルへの渡航費をせびり、
あっちで生活費と、帰りの渡航費ぐらい稼げばいいだろう、
と甘ぬるい気持ちを抱いていた日、
石油ストーブの音だけがやけに耳につく、
薄暗い居間で、
両親から店を閉めようかと思う、
という話を聞いた。
広島のはずれの、交通渋滞だけが名物の、
高齢化、過疎化の町で、
60才を過ぎた両親が細々と借金を返し続ける風景が、
どうしてもイメージできなくて、
その場で「じゃあ、俺がやろうかあ」
と言っていた。
とは言うものの、
パン屋なんか、さっさと片付けてしまって、
夏にはモンゴルに帰ろう、
とまだ甘ぬるく、他人事のように考えていた。
だけど、
想い通りのパンは焼けず。
ヨーロッパで食べたパン、
モンゴルの街で食べたパン、
香りも味も表情も、
なかなかいいパンは焼けず、
そのうちモンゴルのアパートは引き払い、
大切な本やノートを取りに行けないまま。
気付くと毎日毎日、
彼女ができても、飲みに行っても、
パンの事ばかりを考えていた。
素敵な卸し先のレストラン、
素敵な酒飲み友達にも恵まれて、もまれて、
だんだん、自分の中でパンの占める割合が増えて行った。
3年前の12月。
その頃、想像もしてなかった自分、
想像もしてなかったスタッフ、
想像もしていなかったお客さん。
そして、想像だけで実際には焼けなかったパン。。
だんだん、おぼろげでドロドロの状態だったものが、
すこしずつだけど形になりはじめてきたかな、
と思えたころ、
気付くと3年経っていた。
両親と掴み合う程ケンカをしながら、
スタッフを困らせながら、
走り続けた3年間。
過ぎてしまえば、すべてに今では感謝です。
山に登るほど、広く放ろがる裾野が見えてきます。
ただただ、もっといいパンを焼きたいっ!
3年前の12月。
その頃には想像もしてなかったほどに、
頭の中はキリッと澄みきっています。
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ドリアンのパン達が、
12月25日発売の
「Chou Chou」シュシュ関西
ロハスなお取り寄せ帖、というコーナーで、
紹介していただいています。
「石窯で焼く天然酵母パン-ドリアン」
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田村さんとしばらく連絡を取らなくなって、3年。
あれから色々なことがあったんですねえ。自分も田村さんも想像していた未来と違っても、きっと晴れやかな気持ちでまた新たな未来を迎えられそうですね。
今日の日記を読んで、久々に田村さんとまたお酒が飲みたいなあとしみじみしてしまいました。
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まさにドラマのような3年ですね。頭の中はキリっと澄みきっている状態になられたのはお仕事をプロとして真剣に取り組まれているからではないかと感じます。いつも気分のよくなるブログ拝見できてうれしいです。
マンスリーM購入しました。
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takuma>>
だね〜、takumaもすごいよね〜。
3年前には考えられなかったステージに登ってるね。
酒がおいしそうだな。今度是非!
いっちいさん>>
あけましておめでとうございます!
今年もキリッと仕事しますので、
どうぞよろしくお願いいたしますっ。