パンの穴から世界を見た⑪/気遣わない文化

(『中国新聞』2013年7月29日掲載)


まだまだスペイン巡礼中です。

巡礼宿という所で、
大部屋に何十人もが二段ベッドで密度高く寝起きするので、
いろいろと文化の違いが見えてきます。

非常にざっくりした感想を言えば、
ヨーロッパ文化は「気遣わない文化」だと思うのです。

良い悪いの話ではなく「気遣うべし」という考え自体がない。
そこは「気遣えないやつは社会人失格である」という日本とは両極のようです。

巡礼宿では誰かが寝ていようが大声で話し、笑い、
ママに携帯で電話をかける。

「だってまだ消灯時間前だもんね」
という筋の通り方であります。

極端な例では、
「早朝5時事件」がありました。

60人が寝ている大部屋の電灯が早朝5時に突如ピッカリと点灯され、
何だ何だと皆驚いている横で、
おばさん巡礼者が余裕で出発準備をゴソゴソと始めたという事件です。

ヨーロッパの国々では、
こんなことも起こりえるぞ、というお話です。

だから気遣い重視のサービス業、
東京ディズニーランドの神業ホスピタリティなどは、
やはり日本でしか考えられないわけです。

が、しかし!!

話が農業、食品製造業になると、
「気遣わない文化」がうまく作用することになるのです。

なにせ気遣いゼロなのですから
「品種改良してもっと甘くしてみましょう」とか、
「品質改良材なるものをサラッと加えてお客さまをもっと喜ばせましょう」とか
「長く日持ちするようにしますので安心して食べてくださいませ」
という考えもまたゼロなわけです。


(グルテンの少ない粉で頑固に焼き続けられている)

だから、
ワインなら土着のブドウだけ、
ハムなら近所の肉と塩、
パンならその地域の麦と塩だけ。

「うちはじいさんの代からこうやって作ってるんですよ。
材料も製法もさらさら変える気なんてありません。
文句あるかー。」

そんなわがまま頑固おやじだらけなのです。

これが食文化の質を強烈に支えているわけで、
結局は消費者に恩恵を与えている、
という面白い現象であります。

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市民球場と再会

遠足談路、WOODPROでまってます。

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