捨てないパン屋4 「お金がジャマする」

お金がジャマするフランスから帰国して店を再開するとき、
人の雇い方も変えることにした。

僕は、良い人ではない。
欲がある。
誰かに何かを与えるならば、
見返りが欲しくなってしまう。

そんな凡人にとっては、
お金がジャマをする。

フランスから帰国して店を再開するとき、
人の雇い方も変えることにした。

以前のうちは、
レシピや技術をなかなか教えてあげられず、
(教える時間がない)
労働時間だけは長く、
給料は少なかった。

次々と、いろんなスタイルのパンが流行り廃れていくパン業界。
長く修業して独立した時には、
もう見向きもされないかも。

そんな状況の中。
長期間、修行を兼ねて働いてもらうのは、
酷だと思った。

もっといい働き方はないのか。。
という、実験を兼ねて、
今は人を雇っていない。

時々、一ヶ月〜数ヶ月間の研修生がいる。
(今後スタッフを雇う予定もあけど、1年〜3年の期限付きにしようと思っている。)

無料で、パン作りの実地訓練する。

二月あれば、だいたいパンなんて、天然酵母、薪窯で、焼けるようになる。

僕は日頃、
一人でこなせる量の仕事をしている。
時間内に終わらせるに、常に小走り、
電話に出れず、ご飯は立って、少しきついな、という量。

そこで研修生がどんなに初心者であっても、
仕事を手伝ってくれる。
ここが大事なのだけど、
心のそこからありがたい。

お金を払ったり、貰ったりは、
交換だ。

お金を払っていると、
働いてもらうのがあたり前になる。

逆にお金をもらっていると、
働くのがあたり前になる。

ちょっとドライ。

でも、
お金がジャマしていなかったら?

働いてもらうのは、ありがたくなる。
教えてあげたくなる。

働くのはあたり前でなくて、
目的と意欲だけになる。

お金→←お金
から、

技術→←技術
にお互いがなる。

しかも、
一人でやっていた仕事を二人でやるのだから時間が存分にある。
二人分を稼ぐために仕事を増やす必要もない。

研修のために費やす、お互いの意欲と時間が、
雇用していた時とは劇的に違う。

だから、
うちの研修は、
経験なくても、
二月あれば、だいたいパンなんて、天然酵母、薪窯で、焼けるようになる。

情報や、人脈は、
レシピごときの何倍の価値があるだろう!

そしてもう1つ。
お金のジャマなしで得られるもの。

研修生にはもちろん、
見学者にも、
同じ方向の人だな!と感じたら、
レシピや情報をあげている。

ときに、
無料でレシピを出して不安ではないか?
と聞かれるけど、
実はその分以上いただいている。

情報をあげる。

すると、
ちゃんともらえる。

パンの作り方の情報だけではなくて、
流行や、地域性や、どこかのパン屋の裏情報だったり、
いろいろ。

情報や、人脈が、
全国から集まってくるのは、
レシピごときの何倍の価値があるだろう!

そして、
各地にバラバラと散らばった情報網になる。
もちろん、
僕も彼らの情報源のひとつとなる。

今までみたいに、
上から下に伝えるのではない。

双方にじわっと伝わる。
網の目のようなイメージだ。

自立した個人同士のネットワーク。

それぞれ活動し見聞を広め、
情報交換し、
時に集り、パッと散る。

そんなことを繰り返して、
全体として高めていく。

自分も相手もお客も得するはずだ。

うちの周りの、
元研修生や、見学に来てくれた人々とは、
そんな不思議なネットワークができている。

そしてそれは、
損得勘定抜きにしても、
志をともにできる、
人生を豊かにしてくれるネットワークになるのです。

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