捨てないパン屋6「捨てるかも、、捨てないパン屋の作り方」

悪い人に絡まれてるのでなく、オーストリアのパン屋のデニス君(年下)です。

すみません。いきなり捨てるかもしれません。。

「捨てないパン屋」の記事が、朝日新聞に載せていただいて、沢山の反響をいただき、本当にありがたいです。

さぞ、お客さんが増えたんだろうな、と思われているでしょうが、
今日もいつもと変わらぬ店内です。
年度末で皆さん忙しいのでしょう。むしろ全然ダメです。。。
捨てるかも、、です。

でもしかし。
これこそが、捨てないパン屋の作り方の根幹でありキモでもあります。

自分がドリアンに関わって、13年間、全国紙に取り上げられたのは、50回以上。
専門誌の表紙に登場したり、週刊誌のランキングで上位に入れてもらったり。
これは自慢話ではありません。
次が悲しい現実です。

これでもお客は増えない。涙

その度に、
「これでお客さん増えるぞ、楽になるぞ!」
と思ったけれど、
お客さんは全く増えませんでした。笑

首都圏や関西圏やその近く、福岡や名古屋などの大都市、オシャレな神戸や京都ならともかくも、
広島は日帰り圏内に大都市もなく、
中四国はまさに現代のみちのく。

何かを見て、わざわざ県外から来る人もこの辺りでは希で、
昔の売り場(今の工房)は交通渋滞もひどく、なおかつ駐車場も狭いから、県内でさえ誰も来ない。

でも、それが良かったのです!!!

僕は、怠け者だし、すぐ天狗になるから、
もし、お客さんがどわー、と来ていたら、
パンも良くならなかったし、これでいいや、と思っていたでしょう。
それに、
どわーっと、来るお客さんに圧倒されるというか、応えねばならぬと、
スタッフを増やしたり、設備を増やしたり、店増やしたり、したでしょう。

でも、ここでは、お客さんは一向に増えない。

すると。。

もっと、パンを良くしないとだめか。。
もっと、常連さんのことだけを考えないとだめか。。
まだまだ、スタッフを増やしてはダメだな。。

という、
よく考えれば、しごくまっとうな方向へむかうわけです。

お店の、本当の体力は、
パン作りの技術や、
月に一人二人増えるか増えないかの常連さんの蓄積なのであります。

マスコミ受けするとか、よく雑誌に載ってるとか、名前が売れてるとかは、
関係ない、とは言い切れないけれど、あんまり関係なくて、
それらはむしろ、
常連さんたちが見て喜んでくれたらいいな、
というぐらいのスパイス的なものであるべきだからです。

一般の方々は誤解されているかもしれませんが、
レストランさんや、常連さん達、雨の日で残ったパンを売ってくれるお店さん達は、
ただ、
名が売れてるだけとか、残ってもったいないとか、かわいそうだ、とかの理由だけでパンを絶対に買ってはくれません。

もちろんパンの味も含めて、製法や材料やストーリーも含めた”付加価値”があるからこそ、買っていただけるのです。

その付加価値を増やすためには、
材料を良くしたり、その割にコスパを良くしたり、しっかり研修積んだり、海外でいろんなパンを見てきたり、
日本にはどんなパンが合うのか悩んでみたり、ワインやチーズの勉強したり、情報交換できるパン屋仲間をつくったり、
材料の生産者と本気で付き合ったり、研修生を入れたり、そしてブログに文章を書いたり、
地道にコツコツやることが、沢山あるのです。

10年近くかけて、
赤字でも毎年夏休みとって研修に行っていたし、お店でやるワイン会も40回やったし、ブログもずーと書いてきた。

そんな事が、
本当のお店の体力をつくっていくのであります。

と、
もっともらしいことを書いてきたのですが、けっこう嘘です。

本当のことを言うと、、
それは苦しいことではなくて、
工房でパンばっかり作っているよりも、
むしろ、そんないろんなことが楽しいのであって、自分自身の人生を豊かにしてくれるのであって、
それを見てお客さんもなんだかわかんないけど喜んでくれて、
そうして自然に、じんわりと、
いつの間にやら、気づいてみれば、パンを捨てなくてよくなるのです。

踊らされずに、マイペースに、けれど頑張って、ちょっと無理して、踊るのです。

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コメント

    • 大塚良孝
    • 2017年 3月 30日

    初めまして、こんにちは。

    朝日新聞の記事を拝読してブログにたどり着きました。
    私は愛知県に住んでいて、夏にパン屋さんを開業予定で準備をしています。
    営業日は週に2〜3日、開ける時間は13時〜18時と考えていたところ、近い形で営んで見えるパン屋さんがあったことに驚き、そして嬉しくなりました。
    私もパンは捨てたくなく、売り切る、食べきるパン屋さんをと思っています。

    4月か5月頃には一度そちらに行ってみたいなと思っています。

    • ドリアン田村
    • 2017年 3月 30日

    こんにちは!
    まさにパン屋さん開業ですか!!!
    がんばってくださいね。
    でも、、、ここだけの話、、最初は捨ててもしょうがないと思いますよ。
    まずはドシドシ良いパン焼いてくださいっ。
    見学はいつでもどうぞ。連絡してきて頂けたらたすかります。

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